■話題の集客 伊都菜彩
福岡県前原市にあるJA糸島産直市場「伊都菜彩(いとさいさい)」は、今大変集客力のある産直だと評判です。
スタッフ佐藤もその人気ぶりを確かめるべく行ってみました。噂どおりの活況です。福岡県前原市といえば数年前、田舎ブームの頃「移住したい田舎No,1」とまで言われたところ。人気の理由は、田畑が広く農産物が豊かな上、海も近い位置にあるため「海の幸、山の幸に恵まれた田舎」が好評でした。
伊都菜彩ができたのは平成19年(2007年)の4月。約1,270平方メートルの広い売場面積を有し、切花から農産物、畜産、鮮魚までを取り揃えた店内はまさに「糸島の大地そのままいっぱい」といったところ。
■伊都菜彩の魅力
スタッフ佐藤はタウンウォッチングが好きなので、道の駅や産直といったものを見つけると立ち寄らずにはいられません。出先で大小さまざまな産直所や道の駅へ行って見ます。
たいていの産直所は「新鮮な農産物」がメインで、畜産や魚介となると加工品がある程度。つまり新鮮な野菜や果物は買えても、肉や魚はまた別のところで買うことになります。しかし、伊都菜彩ではその両方が一度で手に入ります。しかも鮮度も良く、安い。
又、「伊都菜彩」は産直所にしては「華やか」な印象も受けました。私が知っている産直所の加工食品はたいてい「田舎らしい感じ」で、素朴なもの、作り慣れてはいるが素人の商品。ですが、「伊都菜彩」の焼き菓子や饅頭などは、「地元のお店の方がここにも出店しているのかな?」と思うほど、あかぬけた感じの手作り商品が多いのです。
一言で「田舎」といっても地域によって気質は異なり、山地方と海地方でも気性は大きく変わります。ここ「伊都菜彩」では山と海のの長所が一緒になった相乗効果が集客の魅力と、スタッフ佐藤は感じました。
■全く違う魅力を持った三瀬のやさい直売所「マッちゃん」
前原からひと山越えたところに佐賀県三瀬があり、ここは1986年7月に三瀬トンネルが開通したのをきっかけに始めた、「やさい直売所 マッちゃん」が国道263号線沿いにあります。農家の嫁だった合瀬マツヨさんにちなんで「マッちゃん」とつけられたこの産直所は2009年のフジテレビ系のニュース番組「新報道2001」のコーナーで年商7億円、年間30万人と紹介されました。
じつのところスタッフ佐藤はこの「マッちゃん」の大ファンで、この「年間30万人」のうちの1人です。初めて「マッちゃん」を見たときは風変わりな建物にたくさんの車が止まっているのを見て不思議な印象を受けました。「マッちゃん」の店舗は基本、建て増し。店内に入ると分かりますが、「ここが初期の建物であろう」と思われるなごりも見られます。
「マッちゃん」の商売はその建物のとおり、新しいことを始めて、いろいろ試してきた経緯そのものではないかと思われます。その建物はまさに直感的、有機的成長を遂げた姿にも見えます。
■幅広い年齢層が集まるお店
しかし、この「マッちゃん」で販売されている商品は前述の「伊都菜彩」に比べると色々と大雑把に見えます。
それでもこの「マッちゃん」には若者からファミリー、中高年と幅広い客層の人が来ます。ハイヒールを履いた若い女の子もここでザル豆腐を食べ、買い物をします。「ずり下げズボン」スタイルの若い男の子たちが漬物を試食し、「おー、うめぇ!なにこれ」と声を上げると、売り場のおばちゃんが「これはねぇ、高菜!」と答え、1つお買い上げといったやりとりが見られたりします。
「マッちゃん」で売られている食べ物は全て「田舎の味」です。田舎出身の人には懐かしいくらいの、田舎で振舞われるときの味そのものと空気があります。それだけに、ここでは誰にでも「田舎の食卓」が振舞われ、胃袋と一緒に心も満たされるのではないかと思います。
■地の利を生かした、フリーミアム!?
「マッちゃん」には商品といっしょに3つのフリー(無料)も提供されています。お茶と、場所と、この空気です。
お茶は店内の飲食コーナーでセルフサービスされています。その店内の飲食コーナーは自由に使える場所です。そして空気はもともと当たり前に自由で無料のものではありますが、ここはいつ来ても炭や焚き火の匂いがします。炭の効果か、田舎の場の効果かわかりませんが、ここへ来るととてもゆったりとリラックスした気分になります。”誰でもここへ来て居て良いよ”と言われてるような間口の広さと敷居の低さは、この「マッちゃん」の造り全てからかもし出され、この空気感はフリーです。
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前原の「伊都菜彩」と、三瀬の「やさい直売所マッちゃん」とを比べると正反対と言っても過言ではないくらい方向性が違いますが、どちらも共通して大変な集客力を持つ産直所です。
それだけに行く度に発見があり、今後も引き続き注目していきたい産直所であります。
投稿者:スタッフ佐藤