データを守ったつもりが読めないのは結構ある話
ある日のこと。
数年前の依頼者(企業)から業務メールが来ました。
以前撮影したホームページ素材写真の控えが無いか?との問い合わせです。
理由を尋ねると依頼者が自社サーバーに暗号化して保存していたらしいのですが、それが読めない(複号できない)とのこと。
社内に控えは存在するが使えないという困った状況らしいです。
また同時期に他の会社からは10年前納品の光学ディスク(DVD-R)が読めないと電話がありました。
私は20年前から顧客には伝え続けてます。
SSDも消えます。USBメモリも消えます。DVDやCDに焼いたデータも消えます。
社内で光学ディスクアルバムや引き出しの中でデータ共有しているクライアント様には2重以上のバックアップで定期的にチェックしない限りデータは失うリスクがあることを伝えております。
クラウドとローカル物理保存など。
情報資産を守るのは当事者の義務ですから真剣に聞いて欲しいです。
再びデータ保存の問題点について考えさせられる
ずっと以前から大手の仕事をしていても納品したDVDが読めないとか、USBメモリが壊れて読めないとか、少ないですが確実にトラブルがあります。
データ媒体は何でも物理的に壊れます。
半導体メモリは「機械的に動かない」から壊れないと思っているのも完全に間違いです。
半導体メモリも「物理的に」壊れます。
チップが無事でも基板や配線が駄目になったり結局同じことです。
また仮に修理や復旧ができたとして誰に依頼できるのか?コストは?という話になります。
例えば私はデータ保存は有料で担当中のプロジェクト案件のみです。
これを話すと以外に思われますが、有料データ保管を依頼されるクライアント様はゼロです。
私もいつ使うかも分からないデータは無制限に保存できません。
今現在2026年ですがクラウドに写真を50万枚くらい預けてます。
しかも1枚のデータが重い。
これに外注費の管理料と人件費が別途かかります。
たかが写真の保存と言いますが、私は制作の仕事なのでプロジェクトが有効(アクティブ)な状態でデータ保管すると1テラバイトで1ヶ月持たないことも普通にあります。
したがって長期の保存は無理なので1年も持たずに削除もあり得ます。(保存できたとしても上記の通り予算や取引の記録としてのGoogleフォトなどの控えだけです。)
データストレージサービスと言う高額な保管ビジネスがあるほどです。
当然のことですが、データを長期間控えとして残すためには投資が必要です。
「業務だから大事」と言うならこのレベルの考え方が最低限レベル
まず1台のデータ保管では安全なバックアップになりません。
理由はこれを失ったら終わりだからです。
ハードディスクもメモリも寿命があっていつかは故障します。
半導体メモリも壊れます。経年劣化もします。もちろん低コストの安物から壊れます。
二重のデータが存在して片方が駄目になった時点でこの世に一つのバックアップになります。
過去の報道を見ても「バックアップ中の事故」なども多いわけです。
一括上書きとか、これは最悪です。すべて失います。
三重の保存状態にして、一つを物理的に隔離することで、初めて一応は「一つだけ安全に確保している」と言えます。(RAIDというドライブ構成もそれです。ファイルを使っている最中に消えることを想定しています)
このような訳で個人的にはクライアント様のデータの無料保存はしていません。
理由なしに将来へのデータ保管の契約もしてません。
データ納品とともに取引は完了とさせていただきます。
予算(設備投資または外部契約)と法的なお約束まで必要なのでデータストレージのサービスもしていません。
実はデータは自然に消えることがある
あまり知られていませんがデータは保管中に消えることがあります。
記録媒体も製品保証だけです。1年以内は交換とか。
記録媒体は密封された精密機器なので普通は修理はできません。
新品に交換するだけです。
CD-RやDVD-Rは遅かれ早かれ消える可能性が高い
昔から仕事でDVDが読めない事例は数え切れないほど見てきました。
特にテレビCM映像制作の仕事をしていた頃が酷かったです。
ドライブもよく壊れますが、ディスクが壊れたら終わりです。
CDも読めないことがありますが、圧倒的にDVDの読み込み不可能が多いです。
またDVDドライブは内蔵でも外付けでもとても壊れやすいです。
パソコンは何年も使うことがありますがDVDドライブは毎日使うと酷使状態なのですぐ壊れます。
また運悪く安物ディスクで消耗してるドライブで焼くと納品先で読めないということになります。
保存性と安定性で今後は時代遅れの媒体になるでしょう。
CDやDVDやSDメモリとかUSBメモリなどのデータは自然に消えることもあります。
宿命的に経年劣化で読めなくなるのです。
そもそも原理を見れば分かりますが、焼きこんだディスクのデータは顔料などの反射率を見ているようです。
そういったものは置いてあるだけで普通の洋服みたいにクローゼット内でも色褪せ、光がある場所では日焼けして経年劣化します。
何もせずに保管してるだけで劣化して消えることは有り得るのです。
SDカードやUSBメモリも経年劣化で壊れて読めなくなる
私もメモリは長持ちするだろうと思っていました。
データが壊れたり消えたりする不良品を買うまでは。
それから異常に安いのには訳があると知って調べました。
コンビにでも買えるように今ではメモリは非常に安価です。
これらの安物メモリは設計でコストダウンしています。
それは例えばSDカードなどの中身に入っている部品のことです。
全て内部にメモリチップそのものが隠されています。
これがデータ記録されている本体です。
SDカードなどに使われる材料のメモリは近年ではMLCが高額なタイプでTLCが安価とされます。
3D化されてますます安価で高密度になってきてます。
極端に長寿命タイプならば産業用組み込み用タイプもありますが、これは小容量でも桁違いに高価です。
普通のユーザーには高耐久カードが現実的と思います。

例えば、ドライブレコーダー用ならSandiskの高耐久タイプがありますが、
これは比較的長持ちする程度でしょう。
スペックから判断すると、2年間超の撮影ができる耐久性です。
サンディスク HIGH ENDURANCE 高耐久 microSDカード
不揮発性メモリの保存(電源OFF時)は低温が圧倒的に有利
SSD,SD,USBメモリ製品全般などを電源を切って使わないときは低温保存が原則です。
真夏の暑さなどの熱に弱いです。
フラッシュメモリは、温度が高くなるとリーク現象でデータが消えやすい状態になる。
保存温度が5℃上がるだけでデータ保持期間が半分になるとも言われている。
長期間の保存、真夏の保管で心配なUSBメモリはどうすれば良い?
保存方法は分かったと思いますが、保管中に熱で弱ったらどうするのか?
それは簡単です。
弱ったデータ保持を強化するにはUSBメモリ(SDメモリカード)を機器に挿して確認するだけです。
認識するだけで特になにも操作しなくて良いです。
フラッシュメモリはどの製品も原理的には「データを絶縁体の構造の中に電子を閉じ込めた形で維持」しています。
どこにも電池は入っていませんが、最後にUSBメモリ(SDメモリカード)を使った時の電源エネルギーだけでずっとデータを保持している訳です。
データ保管は保障の程度に応じた手間とコストがかかる(ピンキリ)
ちなみに買ってきたメモリ媒体にも製品保証はあると思いますが、
壊れたら元に修理するか交換する通常のメーカー保証です。
保証期間もまちまちです。
ちなみに「中のデータ内容を保証する」なんて話は一度も聞いたことがありません。
実際データ保存に関してメーカーの法的な約束は見たことありません。
私は仕事なので仕事が完了するまでは契約書を交わしたりしますが。
仕事が完了するまではプロなのでデータが消えないように対策してあります。
大事なものは自分で守るべきであって人のせいにしていたら仕事になりません。
(情報資産です。NDA締結するクライアント様では通じるのですが、広告写真家の仕事を通して見てると対応は様々です。)
出来る範囲の解決方法
1、データストレージサービスやインターネット上のクラウドサービスの利用が挙げられます。
ただし企業の事業ですので永続性は保証されません。
私も使っていますがローカルストレージとの併用となります。
2、定期的にコピーを再コピーしてバックアップを世代交代させる。(ただしどれが先に劣化するか最後まで分からない)
今後はCDやDVDなどの光学ディスクは低品質の物から劣化していきます。
※発売当初は半永久的と謳われたCD(コンパクト・ディスク)も初期の有名レーベル製品で剥離して再生できないものを多く見ています。
高額で高品質な長期保存用ディスクもありますが、一般には安い製品しか使用されていません。
携帯電話に内蔵しているUSBメモリも故障するリスクがあるということです。
写真ならプリントするとか100年以上前の写真でも綺麗に残っています

長期保存対応の印画紙プリントサービスをお勧めします。
昔の写真は銀の化学反応です。条件が良ければ100年以上も残っています。
プリントのインクは消えるものがあります。
写真をプリントするなら必ず顔料インクを使いましょう。

