データを守ったつもりが読めないのは結構ある話
ある日のこと。
数年前の依頼者(企業)から業務メールが来ました。
以前撮影したホームページ素材写真の控えが無いか?との問い合わせです。
理由を尋ねると依頼者が自社サーバーに暗号化して保存していたらしいのですが、それが読めない(複号できない)とのこと。
社内に控えは存在するが使えないという困った状況らしいです。
再びデータ保存の問題点について考えさせられる
ずっと以前から大手の仕事をしていても納品したDVDが読めないとか、USBメモリが壊れて読めないとか、少ないですが確実にトラブルがあります。
データ媒体は何でも物理的に壊れます。
半導体メモリは壊れないと思っているのも勘違いです。
個人的には元のデータは無制限に保存できません。
たかが写真の保存と言いますが、私は制作の仕事なので有効な状態でデータ保管すると1テラバイトで1ヶ月持たないこともありえます。
したがって長期の保存は無理なので1年程度で削除します。(保存できたとしても予算や取引の記録としてのGoogleフォトなどの控えだけです。)
データストレージサービスと言う高額な保管ビジネスがあるほどです。
当然のことですが、データを長期間控えとして残すためには投資が必要です。
「業務だから大事」と言うならこのレベルの考え方が最低限レベル
まず1台のデータ保管では安全なバックアップになりません。
理由はこれを失ったら終わりだからです。
ハードディスクもメモリも寿命があっていつかは故障します。
半導体メモリも壊れます。経年劣化もします。もちろん低コストの安物から壊れます。
二重の保存にして片方が駄目になった時点でこの世に一つのバックアップになります。
このような訳で個人的には完全な保存はしていません。
そもそも将来へのデータ保管の契約もしてません。
データ納品したので取引は完了となります。
非常に高額な予算(設備投資または外部契約)と法的な取り決めが必要なのでデータストレージのサービスもしていません。
実はデータは自然に消えることがある
あまり知られていませんがデータは保管中に消えることがあります。
記録媒体も製品保証だけです。1年以内は交換とか。
記録媒体は密封された精密機器なので普通は修理はできません。
新品に交換するだけです。
CD-RやDVD-Rは遅かれ早かれ消える可能性が高い
昔から仕事でDVDが読めない事例は数え切れないほど見てきました。
特にテレビCM映像制作の仕事をしていた頃が酷かったです。
ドライブもよく壊れますが、ディスクが壊れたら終わりです。
CDも読めないことがありますが、圧倒的にDVDの読み込み不可能が多いです。
またDVDドライブは内蔵でも外付けでもとても壊れやすいです。
パソコンは何年も使うことがありますがDVDドライブは毎日使うと酷使状態なのですぐ壊れます。
また運悪く安物ディスクで消耗してるドライブで焼くと納品先で読めないということになります。
保存性と安定性で今後は時代遅れの媒体になるでしょう。
CDやDVDやSDメモリとかUSBメモリなどのデータは自然に消えることもあります。
宿命的に経年劣化で読めなくなるのです。
そもそも原理を見れば分かりますが、焼きこんだディスクのデータは顔料などの反射率を見ているようです。
そういったものは置いてあるだけで普通の洋服みたいにクローゼット内でも色褪せ、光がある場所では日焼けして経年劣化します。
何もせずに保管してるだけで劣化して消えることは有り得るのです。
SDカードやUSBメモリも経年劣化で壊れて読めなくなる
私もメモリは長持ちするだろうと思っていました。
データが壊れたり消えたりする不良品を買うまでは。
それから異常に安いのには訳があると知って調べました。
コンビにでも買えるように今ではメモリは非常に安価です。
これらの安物メモリは設計でコストダウンしています。
それは例えばSDカードなどの中身に入っている部品のことです。
全て内部にメモリチップそのものが隠されています。
これがデータ記録されている本体です。
SDカードなどに使われる材料のメモリは近年ではMLCが高額なタイプでTLCが安価とされます。
更に高額なタイプもありますが一般ユーザーは買わないものは市販品で見かけることも少ないと思います。
以前は今のように使い捨て感覚でメモリを買うことはできませんでした。
私は16メガバイトのメモリを買うのに20万円払ったことがあります。
今では仕事用の高画質な写真1枚しか入らないサイズです。
写真1枚で20万円です。それが90年代前半のメモリの価格感でした、
今はメモリ代も紙代に近いくらいの価格感ですね。
データ保管は保障の程度に応じた手間とコストがかかる(ピンキリ)
ちなみに買ってきたメモリ媒体にも製品保証はあると思いますが、
壊れたら元に修理するか交換する通常のメーカー保証です。
保証期間もまちまちです。
ちなみに「中のデータ内容を保証する」なんて話は一度も聞いたことがありません。
実際データ保存に関してメーカーの法的な約束は見たことありません。
私は仕事なので仕事が完了するまでは契約書を交わしたりしますが。
仕事が完了するまではプロなのでデータが消えないように対策してあります。
大事なものは自分で守るべきであって人のせいにしていたら仕事になりません。
出来る範囲の解決方法
1、データストレージサービスやインターネット上のクラウドサービスの利用が挙げられます。
ただし一企業の事業ですので永続性は疑わしいです。
そもそも儲からなければ止めるだろうしそういう契約のはずです。
私も実際に使っていますが絶対の保証とは思っていません。
2、定期的にバックアップを世代交代させる。
これも過去20年くらいしてますが途中で失敗して全部データが消えたことがあります。
今後はCDやDVDなどの光学ディスクは低品質の物から劣化していきます。
高額で高品質な長期保存用ディスクもありますが、一般には安い製品しか使用されていません。
携帯電話に内蔵しているUSBメモリも故障するリスクがあるということです。
写真ならプリントするとか100年以上前の写真でも綺麗に残っています
長期保存対応の印画紙プリントサービスをお勧めします。
昔の写真は銀の化学反応です。条件が良ければ100年以上も残っています。
プリントのインクは消えるものがあります。
写真をプリントするなら必ず顔料インクを使いましょう。